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「アート・エンタテインメントをアウトプットする ー論文・アート作品への展開と実践ー」
Reported by : 馬 華(慶應義塾大学)
2021年11月27日、日本バーチャルリアリティ学会のアート+エンタテインメント研究委員会Meet-up「アート・エンタテインメントをアウトプットする ―論文・アート作品への展開と実践―」がオンライン開催することになった。
会の冒頭に、委員長の山岡潤一氏(慶應義塾大学)が本会の趣旨を紹介し、開場の挨拶を行った。今回のMeet-upの目的はアートやエンタテインメントの領域に関わる制作物を論文やアート作品として世に出すときに持つべく意識・方法論を学び、議論し、共有することである。本イベントでは、アート・エンタテインメント領域の第一線で活躍する研究者・アーティストが自身の方法論や実践を紹介するとともに、イベント参加者と相談・交流する場が設けられた。すでに活躍・実践している研究者・アーティストだけでなく、アート・エンタテインメントに関わる研究や制作に興味のある学生や、制作物の学術的価値や評価について議論したい研究者、制作物の今後の方向性や見せ方について悩んでいるアーティストなどが参加対象であった。
今回のイベントの前半は委員会幹事らの自己紹介とA+E研究委員会有志の講演、およびその講演についてのQ&Aセッションであった。
講演セッションでは、岩本尚也氏(Huawei Technologies Japan K.K.)が研究の作品化・論文化の意義と自身の研究スタンスについて述べていた。自分の研究を作品(コンペ)および論文化した事例・研究を製品化した事例を挙げて、技術課題の発見からコンセプト立案・実装・作品化/製品化ないし論文化された経験をシェアした。横窪安奈氏(青山学院大学)が自身の趣味から伝統芸能の導入口を拡張して、アート・エンタテイメントをアウトプットする経験をシェアした。長谷川愛氏(京都工芸繊維大学)は分野の違うアーティストのアウトプットの文脈や思考を紹介し、中垣拳氏(University of Chicago)が体験のデザインに関する制作者と体験者の関係性について述べた。
その後Q&Aセッションに入り、今回の講演内容を踏まえ、各委員が自身のキャリアパスの背景を共有するとともに、価値観の伝達という観点から作品や学術論文を分野ごとにどのように捉えているか、作品や学術論文の文脈や 表現方法の違いについて議論した。 また、メディアアートやHCI分野の最新動向やトピックも共有していた。
イベントの後半では、メンバーが独自の視点で論文や作品にまつわる体験を語った後に、Meet-upに参加した一部の方が、委員らと直接相談する時間が設けられた。
今回の相談会では、委員らがZoomの各部屋に分かれ、数名の若手研究者やアーティストが、自身の研究や作品を紹介しながら、委員らに直接悩みや戸惑いを打ち明けた。幸運にも、私は研究を紹介する機会に恵まれ、非常に丁寧なコメントをいただいただけでなく、作品制作と学術研究の両立について、多くの貴重な助言をいただくこともできた。
相談会終了後、委員長の山岡潤一氏(慶應義塾大学)が閉会の挨拶を行った。閉会式後は、先ほどの話題について継続して話ができる交流会が開催され、とても気軽で楽しい雰囲気の中で、キャリアパスや論文執筆、アート作品制作などについての迷いや経験談を語り合うことになった。
未来を探求する情熱を持った研究者やアーティストがこのMeset-upを通じて出会い、お互いの経験を共有することができた。アート+エンタテインメント研究委員会の今後の活動にとって非常に良いスタートとなり、最先端の未来動向を共に探求するための非常に良い場であったと思う。